2017.08.14〈9945〉

群馬県立近代美術館は、群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」の中にあります。20代の前半、初めて美術館を訪れたのは、収蔵されている美術作品を鑑賞するというよりも、この「美術館」そのものを鑑賞するためでした。それ以来、何度となく訪れている、お気に入りの美術館です。

2017.08.14 関越自動車道「高崎玉村スマートI.C.」(ETCのみ)で降りると、高崎方面に向かい10分ほどで到着します。この美術館の近くにお住まいの方の住まいを造ることになりました(2014.05.25)

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県立公園「群馬の森」の大駐車場に駐車すると、公園の中へと入っていきます。

数本の大きな樹が、美術館を隠すスクリーンになっています。

その向こう側、この門を見張っている、こちらを向いている、「何か」が見え隠れしています。

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この立方体が、群馬県立近代美術館を訪れて、最初に目にする彫刻作品です。

来訪者を歓迎する、やさしいスフィンクスのように見えます。

水盤の上に浮いているように感じるのは、アルミパネルの持つ素材感からくるのでしょうか。

コンクリート造としての重量感を、1.2m角のアルミパネルが、打ち消しているようです。

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この立方体は展示室になっていて、後にこの中を回遊することになります。

右側に続く美術館に対して、斜め(22.5度)に配置されています。

美術館内部の展示動線が、「斜め」に曲がる時、そのことを思い出すことになります。

「建築と彫刻の違いは、鑑賞者が中に入ることを考えるか、考えなくていいか」

と、言われることがあります。

この立方体は、「中に入ることできる彫刻」ですね。

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馬の彫刻の前まで来ると、巨大なガラスの「立方体の枠」が、ふたつ並んでいるのが見えます。

芝生を敷き詰めた公園の上に、「立方体の枠が転がっている」のです。

「立方体」が意味するものは、美術作品を内包するための「器」なのでしょうか。

「立方体」というキーワードが、この先、何回も登場します。

この公園は、かつての火薬工場の跡だそうです。

そのことが、この美術館の構想にどんな示唆を与えたのでしょうか。

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この美術館が竣工したのは、1974年。

40年以上も前ですが、美術館の持つ不思議な魅力は色褪せません。

建築設計を超えた、建築哲学に支えられているからでしょう。

しかし、「古さ」を感じてしまうのが、このエントランスにある5段の段差です。

今日の設計では、エントランスに段差をつくらないと思います。

当時は、バリアフリーの配慮は重要視されていなかったのでしょう。

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車いすでの出入りは、この円弧を描くスロープを利用します。

このスローブは、最初はなかったと思います。

デザインとしては面白いですが、「車いすユーザーは遠回りさせられている感」が出てしまっています。

内部空間は、続編でご紹介します。