地盤改良工事を終え、基礎工事の着工の前に、遣り方 [ やりかた ] を出しました。遣り方とは、建物の位置を囲うように板で水平の枠を造り、そこに正確に基準の目盛りと基礎の位置を書き込みます。

遣り方は建物の精度を決定する大切な役割を持っていますので、ミリ単位の正確なものでなければなりません。
上端の水平の板に、基準となる目盛りを書き込んであります。下部の斜めの板は、変形しないようにする補強です。
上端の水平の板を、水貫 [ みずぬき ] といいます。古い職人は、水平のことを水ということがあります。貫とは、15mm x 90mmの断面を持つ杉板のことを言います。
水貫の高さは基礎の上端から20cm上になるように決めています。
現場の、この何もない地面の上で、直角や平行を出すと言うのは、案外大変なことです。建物外壁の出隅の対角線を測ることによって、直角を確認します。
まずは、南西の出隅から北東の出隅までの対角線の寸法を測ります。
次に、南東の出隅から北西の出隅までの対角線の寸法を測ります。双方の寸法が、本当にぴたりと同じ寸法になりました。ひと安心です。
正確に90度かということは、建物が完成してみるとわからないようですが、「何となくきれいだな」と、案外感じるものです。
遣り方は建物の精度を決める大切な役割を持っているのですが、基礎工事が完了すると、その役目を終え、撤去されてしまう一時できなものです。

現場で3時の休憩をしていると、かけやにトンボが止まりました。トンボもひとやすみのようです。
季節の移り変わりを、私はいつも現場で感じています。こののどかな場所に、住まいを造らせてもらえる機会を与えていただいたことに感謝しました。
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