介護保険3 -「段差ない床」今や常識 - 第03回

介護保険3  -「段差ない床」今や常識 - 第03回 敷居をなくして、段差がない床は安心して歩ける

介護保険関係の住宅改修の要望で、手すり設置の次に多いのが床の段差をなくしてほしいというものです。ただし、面積にもよりますが、工事費は介護保険の支給限度基準額の20万円(支給額は18万円)を超すことが多くなります。その場合、20万円を超す部分すべてが、自己負担となります。


2004.10.19

段差のない床は、いまや住宅づくりの常識といっていいでしょう。マンションも含めて、新築の住宅で、床に段差があるようなものは敬遠した方がいい、と断言できるほどです。

わが国の住宅の段差にはもともとは意味がありました。ドア下の敷居の段差はすきま風を防ぐため、和室と廊下の段差は廊下のほこりを和室にあげないためでした。しかし、アルミサッシの普及で住宅全体の気密がよくなり、そうした心配もする必要がなくなりました。車いすの利用を考えるまでもなく、段差は不必要になりました。

床の段差はわずかなものほど危険です。1センチほどの段差でも高齢者は転んでしまいます。段差は3ミリ以下に抑えなくてはいけません。段差をなくす改修は、ドア下の敷居は、敷居そのものを取り、床をつないで張り直します。和室と廊下の段差は、和室の畳をやめて洋間にすることで解消します。

浴室の床段差は洗い場にすのこを置くのが、簡単でかつ効果的です。この場合のすのこは、介護保険では住宅改修費ではなく、福祉用具の購入(年間限度額10万円以内)になりますので、注意が必要です。すのこというと、木製で重くて汚れやすいイメージがありましたが、最近は樹脂製の軽い製品もあります。

玄関のようにどうしても、段差がなくせない場所もあります。その場合は、縦手すりを取り付けるとともに、足をあげやすいように踏み台を取り付けるのがいいでしょう。

大瀧雅寛 = 2000年10月19日 朝日新聞(東京本社版)夕刊マリオンから