「スタンド・バイ・ミー」の、木の上の秘密小屋

建築雑誌に発表する建築家の作品を読んでいます。その作品説明には「まず『コンセプト』を設定し、それに基づいた設計を進めていく」と書かれています。さて私はと言えば『コンセプト』を先に定めるのではなく、「こうだったらいいな」と、「ひらめき」を感じながら設計を進めます。

「スタンド・バイ・ミー」の、木の上の秘密小屋

幼稚園のデッキの端に園庭を眺められるような、「木の家」を造らせてもらいました。片流れ屋根の3m角の大きさ、この建物には階段しかなく、階段を登った踊り場から、遠くを眺めるだけのものです。

子どものころ始めて竹馬に乗れたことを、今でもはっきりと覚えています。竹馬に乗れた嬉しさよりも、大人の視点を得た驚きの方が印象深いのです。この木の家で「高い所からは遠い所がよく見えること」を、子どもさんたちに発見してほしかったのです。

さて、1986年公開のアメリカ映画「スタンド・バイ・ミー」は、木の上の秘密小屋に、12歳の少年4人が集まる場面から始まります。私はこの映画が大好きで何回も観ています。「なるほど、この木の上の秘密小屋を造りたかったのか...」と気づいたのは、竣工後、何年も経ってからのことでした。