『いつまでもひろがってゆくイマージュ』を、クレーの絵本からデッキへ

自分の中で大切にしてきたものが、ある時、突然かたちになる。いい建物を造るためには、たくさんの思い出が必要だと考えています。パウル・クレーの絵に、谷川俊太郎が詩を添えたこの本は、『愛』という詩から始まります。クレーの絵から響いてくる『魂』を、詩人が言葉として引き出したのです。

『いつまでもひろがってゆくイマージュ』を、クレーの絵本からデッキへ 優しくあるためには、より強くなければならないのでしょうか。クレーは前衛芸術家としてナチス・ドイツの迫害を受け、スイスに亡命し、経済的な困窮や原因不明の難病を乗り越え、絵を描き続けたそうです。

いつまでもひろがってゆくイマージュ

『黒い王様』王様なのに寂しそう。王様だから寂しそう。クレーは「芸術は見えないものを見えるようにする」と主張していました。左上の黄色の円は月なのでしょうか。不思議な線の組み合わせになっています。冠や服も。

いつまでもひろがってゆくイマージュ

『壁画』という作品はカーペットに描かれたものです。『愛』の一節が思い浮かびます。『神の設計図のようにどこまでも そんなにいつまでも完成しようとしている』

一面が、不思議な線の組み合わせで、埋め尽くされています。なぜ、線なのだろう。私には、それぞれの線に役割があって、何かを支えているように見えるのです。

いつまでもひろがってゆくイマージュ

子どもたちを迎えるデッキは、「木」で造りあげることが決まっていました。手や足、体全体で触れてみたくなる素材は、「木」以外にはありません。しかしデザインは、「木」という素材に頼りきったものに、したくありませんでした。

いつまでもひろがってゆくイマージュ

デッキは雨の日の遊び場になるように、全面に屋根をかけました。雨の日に傘をさしたように、透明な屋根を軽く支える柱。面ではなく線の組み合わせで、全体を構成できないかと考えました。

いつまでもひろがってゆくイマージュ

『あらそうことのないように 生きるのに不要なもののひとつもないように』

いつまでもひろがってゆくイマージュ

『そんなに豊かに そんなにいつまでもひろがってゆくイマージュがある』

いつまでもひろがってゆくイマージュ

『世界に自らを真似させようと やさしい目差でさし招くイマージュがある』

デッキはやがて、楠の下の「木の家」につながります。「木の家」からは、園庭と遠くまでの空が見えるのです。