手入れの行き届いた美しい庭と、弧を描くレンガのスロープ〈104〉

『車いすに乗ることになった主人のために、スロープを作りたい』と、奥様からのご依頼でした。手入れの行き届いた美しい庭に驚きました。この庭を見渡すと、丹精こめて手入れをしている、奥様の気持ちが伝わってきて、この庭を楽しめるスロープがふさわしいと、直感しました。

手入れの行き届いた美しい庭と、弧を描くレンガのスロープ


車いす対応のバリアフリーリフォームは、どこから出入りするのかが、

重要なポイントになります。まずは、玄関からなのですが、

玄関から車いすで出入りするというのは、現実的には難しいものです。

というのも玄関には、敷居の段差と上がり框の段差があるからです。

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このお住まいもその段差があり、玄関からの出入りは困難でした。

そこで、玄関以外の出入り口として、居間や寝室の掃き出し窓から、

出入りすることになり、門からの長いスロープで結ぶことにしました。

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手入れの行き届いた、美しい庭の中心には、鯉が泳ぐ池があります。

その池の脇を、弧を描くようのスロープを作ることになりました。

窓に接する部分は、バルコニーが屋根代わりになるウッドデッキです。

気軽に出入りできる縁側の様なウッドデッキ、室内と一体に感じます。

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奥様が丹精こめて手入れをしている庭を、居間からでも楽しめます。

スロープやデッキは、単なる段差を解消するための機能だけではなく、

毎日の暮らしを楽しくしてくれる、大切な役割りも担っています。

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もうひとつ、大切な役割りがありました。このスロープが、

「地域とのつながり」を、つくり出してくれることでした。

『誘われる庭があるからこそ、外に出ようとする気持ちになった』と、

ご近所の散歩や、大好きな図書館にも、ここから出かけていきます。

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『このスロープを使って庭へ、そして外へ出ていくことが、毎日のリハビリになり、より前向きにもなれた』、とのことでした。

ご主人は介護保険では、要介護「5」の判定を受けていますが、

このご夫婦の目標は「3」とより、軽い判定を受けられるよう、

リハビリを進めていくことだそうです。

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そして、スロープに設けた手すりを使って、

立ち上がって、庭を眺めることが夢。

その話を聞いて、私までなんだかうれしくなりました。

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住宅の出入りを考えるときは、「家に入る」ことだけではなく、

「外に出るという視点も大切にする」ということを、私は教わりました。