ベッドを置く場所を、選択できる自由があること〈117〉

住まいてさんが進行性の難病により、近い将来に車いすを使うこと、ベッドに横になっている時間が多くなることが、想定されました。東西に広いマンションなのですが、そのベッドをどこに置くのか悩みました。「東側のリビング」がいいのか、それとも「西側の寝室」がいいのか。

ベッドを置く場所を、選択できる自由があること


東側のリビングは、環境はいいのですが、ベッドでは落ち着けない、

一方、西側の寝室は、落ち着くのですが、日中の環境がよくない、

リビングにいる家族とのつながりが、少なくなる心配もありました。

『廊下を広げること』が、この問題を解決するのではと考えました。

ベッドを置く場所を、選択できる自由があること

一般的な廊下の幅は80cm前後、車いすでは通るだけでも不十分です。

通るだけで90cm、直角に曲がり洗面室やトイレに入るとなると、

110cm程の幅が必要になります。

廊下脇にあった納戸などを取り壊し、廊下を広げることができました。

水回りも十分な広さを確保できたので、廊下の幅は110cmにしました。

ベッドを置く場所を、選択できる自由があること

限られた面積の中では、廊下をそこまで広くせずに、

「廊下に面した戸の幅を広げることによって、曲がりやすくする」

という方法もありました。廊下を広げたいと考えた大切な理由は、

リビングと寝室の間を、「ベッドを移動させたかった」からです。

ベッドを置く場所を、選択できる自由があること

どちらかにするというのではなく、そのときの気分や状況によって、

ベッドの場所を変えられるようにと、考えた結果でした。

その東西をつなぐ大切な役割を、廊下に与えたいと思いました。

ベッドを置く場所を、選択できる自由があること

できれば「廊下の無い間取り」がいいと考えていますが、

しかし、廊下をなくせないならば、それを逆手に取れないのか。

結果、この廊下によって住まいの端から端までを見通すことができ、

広がりを感じられ一体感があり、ゆったりできると好評でした。


ところで「バリアフリー」とは、

『障がい者のための配慮、障がいとなるものを無くしていくこと』

だけを指す言葉なのでしょうか。

単に、車いすユーザーの、ご主人にとって使いやすいだけなら、

ご主人は、家族さんに対して申し訳なく思うでしょう。

なので、「家族全員にとって使いやすいこと」を大切に考えました。

それが、広い廊下や、使いやすい水回りなどのアイディアへと、

つながっていきました。

ベッドを置く場所を、選択できる自由があること

このお住まいの小さなアイディアは、「バリアフリー」というよりも、

『フリーマインド』という言葉が、私の気持ちにより近いです。

「とらわれない心」という意味です。

大きな発明をするというよりは、身の回りの小さなアイディアを、

ひとつひとつ発見していく姿勢を、常に持っていたいと考えています。