心地よさは、車いすの使用を想定しておくことから〈120〉

『この中にはパンが一切れ入っています。何かのお役に立つでしょう』ドイツ軍につかまったルーマニア人が、貨車から脱走する際、あるユダヤ教指導者から、ハンカチに包まれた「一切れのパン」をわたされました... 。ここに登場する「一切れのパン」。「バリアフリー住宅」に例えるのなら、『車いすの使用を想定しておくこと』なのだと思うのです。

心地よさは、車いすの使用を想定しておくことから


将来、必要になったとき、いつでも車いすを使い始められるように、

このお住まいには様々な、隠れた配慮を盛り込みました。

玄関ポーチ

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玄関ポーチでは、歩けるうちは手すりの付いた階段を昇降します。

車いすを使うようになったときは、この玄関ポーチの段差を、

「段差リフト」で、昇降できる準備もしておきました。

階段の左脇に、「段差リフト」の設置スペースを確保してあります。

玄関室

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玄関室では、上がり框の段差が小さくなるようにしています。

玄関室から直進できる廊下は、車いすでの行き来しやすいのですが、

家の奥まで、丸見えになってしまいます。訪問客があった時は、

玄関室と廊下を引き戸で間仕切り、奥まで見通せなくできます。

デッキ

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庭に回ればデッキがあって、寝室やLDKの掃き出し窓があります。

デッキに「段差リフト」を設置することができ、家と外との出入りは、

この掃き出し窓から出入りする、という選択肢もあります。

1階の寝室とLDK

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LDKと寝室は、隣りどうしになっていて、引き分け戸を開けると、

ワンルームになります。はき出し窓からはデッキに出られます。

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ゆったりとしたLDKも寝室も、車いすで行き来しやすいです。

ベッドやソファーで、ゆったりとするためには、トイレとのつながり

が大切です。トイレは、寝室やLDKから、すぐに行ける位置です。

水回り

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寝室のベッドからは、すぐにトイレ、洗面室へと繋がっています。

トイレと洗面室には、車いすでぐるりと回転できる広さがあります。

洗面化粧台は、当面、いす座で使いやすいことを優先しました。

下部の扉は取り外すことができ、車いすでも使いやすくなります。

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洗い場にベンチ付きのユニットバスを選び、立った姿勢からではなく、

いったんベンチに腰を掛けてから、安全に浴槽に入ることができます。

洗い場は、車いすで回転する広さはありませんが、幅の広い引き戸で、

洗面室と一体にすることにより、回転することができます

階段室

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階段は、勾配が緩いだけではなく、踊り場を2箇所つくり、

ゆっくりと、体にできるだけ負担を掛けずに2階に上がれます。

この階段は体の調子がいい時の、リハビリのメニューになります。

窓から遠くの景色が眺められ、楽しいリハビリになりそうです。

1階の寝室の上に、2階の寝室

どんなに階段を緩やかにしたところで、車いすでは昇降できません。

1階と2階に、まったく同じ大きさの寝室があります。

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上の画像は1階の寝室で、下の画像はその寝室の真上にある、

2階の寝室です。その日の体調に合わせて、使い分けているそうです。

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正面左側のクローゼットの引き違い扉まで、同じ位置にあります。

このクローゼットの床は、簡単に壊せるようなっていて、

将来、エレベーターを設置することを計画しているのです。


中学校の教科書に載っていた、F・ムンテヤーヌの短編小説『一切れのパン』。クラスの和に入ることが苦手だった私は、大好きだったのです。

『パン一切れ持っていると思うと、ずっと我慢強くなるもんです... 』

『一切れのパン』は、下記のリンクで読めます。

www.geocities.co.jp/HeartLand-Sakura/4493/hitokire1

www.geocities.co.jp/HeartLand-Sakura/4493/hitokire2

www.geocities.co.jp/HeartLand-Sakura/4493/hitokire3