兼用住宅(1)- 美容室と住宅水回りを接点に - 第34回

兼用住宅(1)- 美容室と住宅水回りを接点に - 第34回 住宅の台所兼食堂から美容室へ入るようにした

美容院と住宅を兼ねた建物のリフォームをしました。依頼主は60歳になったばかりの女性で美容師です。築25年の一戸建て住宅ですが、17年前に住宅の半分を建て替えてあります。今回の工事では、建て替えた部分をリフォームし、元からあった部分を新しく建て直しました。


2005.06.06

美容室と住宅

2階建て住宅で、美容室は道路に面した1階です。以前は13畳ありましたが、10畳と狭くしました。

美容室と住宅

その代わりに、長方形にして、お客さん同士の距離は確保しながら、美容師はあまり動かずにすむようにしました。

美容室と住宅

住宅地の中にある美容室なので、固定客が多く、次第に高齢な人が増えてきたそうです。なかには、車いすで来る人もいます。

従来は道路から美容室へは、靴を脱いで20センチほどの床に上がるようになっていたので、車いすではそのまま上がれませんし、高齢の人では入るときに手をかさなくてはいけない場合もあったそうです。

今回のリフォームでは、お客さんにも便利なように、美容室の入り口は道路との段差をなくしました。また、ドアをやめて引き戸にしました。

客用トイレも幅を広くとり、車いすでも使えるようにしました。

美容室と住宅

住宅部分と美容室との行き来は、当初、住宅側の玄関室経由にして、プライバシーを大切にしたいと考えました。

しかし、実際には毎日の生活は、仕事と家事が同時に進行していきます。そうした現実に即して、水回りを接点にすることにし、住宅側の台所兼食堂から美容室へと出入りするようにしました。

美容室と住宅

おかげで、住宅側の台所兼食堂と洗濯機を置く洗面室との距離を短くでき、ふだんの家事が便利になりました。

さらに、美容室で待っているお客さんにお茶を気軽に出すこともできますし、お客さんのいない時には、美容室用の雑用をしながら、家事もできます。

大瀧雅寛 = 2001年06月06日 朝日新聞(東京本社版)夕刊マリオンから