まとめ(1)- リフォーム、使いやすさ優先で - 第46回

まとめ(1)- リフォーム、使いやすさ優先で - 第46回

今月は、リフォーム全般の考え方についてまとめます。リフォームというと、室内をきれいにすることを考える人が多いようですが、それよりもまず、使い勝手をよくすることを考えてもらいたいと思います。そのためには依頼する前に、家族の日常生活での動きを再確認する必要があります。


2005.09.05

生活の中で何が大切なのか、必要なのか、不便なこと、困っていることを確認します。日々の生活のなかで、ストレスを感じないように、体力が消耗しないようにと考えます。生活の中で慣れてしまって、気づかなくなっていることも多いはずです。

その上で、インテリアとの関連や、工期、費用などを重ね合わせて考える必要があります。優先順位をつける必要があるでしょう。注意して欲しいのは、リフォームでは必ずしもすべてを直すことができないということです。住宅構造の変更がからむ問題だと、難しいか、あるいは非常に多額の費用がかかります。ですから、住宅を新築する際には、リフォームでできることとできないことを、建築家や大工さんにしっかりと聞いて、見極めることが大事でしょう。

高齢者の場合とくに、リフォーム工事をする時期は、寒い季節を避けることが基本です。例えば、浴室を工事するなら、その期間は入浴できなくなる上に、工事中はすきま風が入りやすくなります。また、大規模な工事なら、仮住まいが必要になりますが、仮住まいを見つけるのは、思ったよりも難しく、時間のかかるものです。

バリアフリーについては、さんざんこの連載で書いてきましたが、私自身はバリアフリーが前面に出てくるような家は好きになれません。むしろ、「何だか住みやすい。あっ、そうか、バリアフリーだったんだ」というように、隠れた存在であるべきだと思っています。

大瀧雅寛 = 2001年9月05日 朝日新聞(東京本社版)夕刊マリオンから