花を眺めながらの曲線スロープ 2017.09.20〈9908〉

2017.09.20

『細く長い路地を通り過ぎ、右に曲がる。外出先から家に帰ってくると、世界にひとつしかない、我が家が佇む。季節の花が咲き並ぶ、花壇の脇を半周回るように、玄関ポーチに続くスロープ。その先は、大勢の家族がいるリビングまで、フラットに繋がっていく... 』、みたいな感じにならないかなあと、考えたスロープです。

花を眺めながらの曲線スロープ 2017.09.20 バリアフリー住宅は、「実用性」だけでなく「遊びごころ」大切にしたいです。花を眺めながらの曲線スロープ。お伺いするとたくさんの花、うらやましい花壇になっていました(2013.08.31)


「車いすで昇降しやすい」という実用性を、第一に考えるならば、

スロープは、「直線」にするに越したことはありません。

「車いす」と一言でいっても、ひとりひとり様々です。

まず、車いすユーザー本人で移動するのか、介助者による移動なのか、

そして、年齢や腕力の強さも、ひとりひとり同じではありません。

「手動式」車いすだけではなく、「電動式」も、利用されるようになりました。

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高さに対して「12倍」ほどの長さがあると、昇降しやすいスロープになりますが、

限られたスペースに、その長さを確保することは、簡単なことではありません。

このお住まいでは、スロープを直線ではなく、曲線にすることにより、

その「実用性」に、「遊びごころ」を加えながら、解決しようと考えました。

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スロープは、直線で造ることが多いのですが、緩やかな曲線にして、

玄関ポーチの高さまで、この楽しいスロープで上がっていきます。

車いすで寄り道ができるように、スロープはたっぷりと広くしました。

しかし、スロープの幅を広くすると、見た目が「間延び」してしまうので、

スロープの床仕上げは、ベージュの砕石を「洗い出し」にして、

両サイドには乱形石で、不揃いな縁取りを施しました。

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「季節に変化」と「遊びごころ」を、付け加えました。

スロープの内側は花壇と、池になっています。

夏の終わりにお伺いしたのですが、春はもっと賑やかなになるそうです。

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スロープの両脇は、車いすの前輪が落ちないように、

9cm角の天然石を、曲線に積み上げて、立ち上がりをつくりました。

2本の真鍮棒に挟まれた扇状の部分は、水平な踊り場になっています。

車いすをとめて、花壇や池をゆっくりと眺められます。

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石で縁取られた池は、ちょうど、スロープが描く円弧の中心にあります。

バリアフリー住宅では何よりも、実用性が求められがちですが、

遊びごころを付け加えてみたら、こんなに楽しくなりました。

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一度も外国に行ったことのない、私が言うのも何ですが、

日本の四季っていいですね。

今年あった楽しいことが、来年もきっと、あるように思えるからです。