住宅の新築では、ドア・建具は、住宅建材メーカーの既製品が使われることが多くなりました。マンションのリフォームというと、さらに利用が多いように感じます。ドアならば枠とセットになっていますから、工期の短縮にもつながるのかもしれません。
2005.04.25
住宅の新築では、ドア・建具は、住宅建材メーカーの既製品が使われることが多くなりました。マンションのリフォームというと、さらに利用が多いように感じます。
ドアならば枠とセットになっていますから、工期の短縮にもつながるのかもしれません。
しかし、私はあまりこういった商品を使いたくはありません。バリアフリーの工事の場合、前回紹介した引き戸を使った「親子戸」のような特注品が必要になり、既製品では対応しにくいことがまずあります。
また、長く使う住宅のなかで、こうした工業製品はどうしても飽きがくるように感じるのです。
といっても、むくの木を使って住宅の内装を造るのは、よほど予算がなくてはできません。先日来この連載で取り上げているマンションも含めて、私は内装には表面にシナ材を使った「シナ合板」を活用しています。
建具はシナ合板をはり合わせたものを建具屋さんに作ってもらいます。木は色付けはせずに、半つやのウレタンクリア塗装をして使います。戸の枠は輸入材の一種であるスプールス材で、これも同じ塗装です。
これなら、よく使われる既製の普及品と、そう変わりない費用でできます。塗装代が余分にかかるぐらいでしょうか。
ただし、大工さんの腕は必要です。私の場合、信頼できる大工さんが周りにいるからこそ、こうした材料を使えるのかもしれません。お客さんからは、使い込めば使い込むほど味がでると評判は上々のようです。
飽きのこない住まいにするためにも、私は住宅はそれ自体が主張するものにはしたくありません。季節の変化を味わったり、長く生活する中で、飾り付けや模様替えなどの変化を楽しめたりすることが大事だと思います。住宅にはそんな「余白」が大切ではないでしょうか。