窓(1)- 室内から見える景色が大切
〈040〉
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住まいの窓の役割は、採光や通風だけではありません。私は住宅を設計するときに、窓の場所を選ぶのに時間をかけます。その窓から、どのような外の風景を切り取って見ることができるかが、住む人にとってとても重要な事柄だと思うからです。
窓辺の居心地のよさを大切にしたい - 第40回 - 2001年07月18日 朝日新聞(東京本社版)夕刊マリオンから
2001.07.18
住まいの窓の役割は、採光や通風だけではありません。私は住宅を設計するときに、窓の場所を選ぶのに時間をかけます。
その窓から、どのような外の風景を切り取って見ることができるかが、住む人にとってとても重要な事柄だと思うからです。
台所で家事をしながら見る景色、食堂で食事をしながら目に入る景色、居間でゆったりしている時に眼前に広がる景色。
どれも、居心地のよい住まいにとって、とても重要な要素ではないでしょうか。よい景色を切り取るために、時には柱の位置を動かしたり、窓を広げたりと工夫してきました。
窓越しに自分の住まいの一部が見えるのは楽しいものです。ただし、そのためには建物の形状がL型でなくてはならず、狭い敷地では難しくなります。
一方で窓は、その住宅の"表情"に大きく影響します。概していえば、窓の多い家は開放的な雰囲気ですし、窓が少ないと閉鎖的なイメージになります。
さらに、道行く人や近所の人に対しては、窓はその家の生活の一部を見せる『ショーウインドー』にもなります。窓辺を飾る小物などについて、いくら気を使っても使い過ぎることはないでしょう。
部屋の一つ一つにとっても、窓や窓辺は部屋の雰囲気を決める大切な要素です。とくに私が重視しているのは、外とのつながりです。掃き出し窓のある居間では、窓の外側にデッキなどを造り、内と外に一体感がでるようにしています。
居間では長いすなどはなるべく窓辺に置きたいものです。窓辺とそうでない場所に置いたいすを比べると、まず窓辺のいすから埋まっていくように、窓辺には人気があるからです。
また、寝室ではベッドは窓辺に置きたい。ベッドから見上げる空の雲の流れや、ベッドから見る庭の緑などのながめは気持ちのよいものだから。
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