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大瀧雅寛 ↘

階段(3)- 不要な廊下なるべくなくす

〈024〉

50代の夫婦と3人の子供、そして奥さんのお父さんが同居するという住宅を建てたことがあります。この家の特徴はリビングとダイニングに階段が直結していることでした。

階段(3)- 不要な廊下なるべくなくす

リビングに面して2つの階段が並ぶ - 第24回 - 2001年03月29日 朝日新聞(東京本社版)夕刊マリオンから

2001.03.29

傾斜地に建てた家なので、中2階のある2階建てです。ダイニングから5段上がると中2階のリビングに。リビングから10段上がると二階になります。結果として、踊り場付き階段の形になりました。

階段の形としては、この踊り場付きが一番ベストなものだと思っています。途中で一休みでき、安全に方向転換できるからです。ダイニングは吹き抜けです。2階にある夫婦の寝室と3人の子供の部屋はすべて、この吹き抜けに小窓かドアが面するようにしました。

ドアか窓を少し開ければ、リビングやダイニングにいる家族の気配を感じることができます。また、食事の用意ができたときは、台所で少し大きな声を出して呼べば2階にいるみんなに伝わります。

リビングの東側の壁に、2つの階段がつながるので、リビングが落ち着かなくなるのではないかと心配しました。しかし、実際には、リビングのまん中を通るのではなく、わきをすりぬけていく感じなので、そう影響はなかったようです。

この家はいわば、現代風の「田の字形」の間取りです。できるだけ廊下を作らないようにと考えた結果です。家族のコミュニケーションをとるためには、できるだけ廊下はない方がいいと私は考えています。

スペース利用の点からも廊下をなくすことはメリットがあります。この家は延べ面積約180平方メートルですが、普通に設計すると廊下だけで約20平方メートル以上になります。1部屋以上の面積です。廊下をなくせば、その分部屋を増やせます。

実際には、この家では洗面所やふろ場などの水回りにその面積を回しました。おかげで、家族が多くても、水回りが広いので使いやすいと好評です。

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