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大瀧雅寛 ↘

ベンチと踏み台 - 工事無駄にせず単に置くだけ

〈009〉

80代の奥さんのために、玄関を直したことがあります。この奥さんは脳こうそくによる軽度の左マヒのため、屋内では歩行器を、屋外では車いすを使っています。80代の奥さんのために、玄関を直したことがあります。この奥さんは脳こうそくによる軽度の左マヒのため、屋内では歩行器を、屋外では車いすを使っています。

ベンチと踏み台 - 工事無駄にせず単に置くだけ

踏み台とベンチを使って、床に上がる(モデルは別人) - 第09回 - 2000年12月07日 朝日新聞(東京本社版)夕刊マリオンから

2000.12.07

玄関の土間から、30センチの段差のある床に上がるために用意したのが、ベンチと踏み台です。まず、ベンチに座ってから、踏み台に足をのせ、そこから手すりを持って床に上がってもらうようにと考えました。

踏み台の高さは段差を二等分して15センチにしました。ベンチの高さは、奥さんの座りやすいいすの座面の高さは45センチでしたので、踏み台の高さを加えて60センチにしました。

踏み台は樹脂製で軽く、片手で持て、簡単にベンチの下にしまえます。天板には滑り止めマットを張りました。ベンチは木製で作りました。費用は両方で10万円以内でした。

ポイントはどちらも、つくりつけではなく、たんに置くだけにしたことです。奥さんは高齢なため、いつかは室内でも車いすが必要になりそうです。

そのときは、玄関に機械式の段差リフトを取り付けねばなりません。置くだけにしておいて、今回の工事が無駄にならないようにと考えました。

もう一つ工夫をしました。ベンチ反対側の玄関収納です。上段と下段に分け、その間に横手すりを設けました。奥さんが玄関内で立っている時に、安定するようにと考えたのです。

車いすの人がいる家庭では、新築の場合には上がりかまちの段差をなくしてしまう場合があります。そうすると不便になるのが、靴の脱ぎ着です。

そうした時には、この家で作ったようなベンチを置いて、靴の脱ぎ着用に使ってもらいます。ベンチはまた、来客の際にも便利ですので、車いすの人専用のものとは考えないでください。

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