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大瀧雅寛 ↘

兼用住宅(2)- 高齢対策、生活コンパクトに

〈035〉

今回の依頼主は人一倍元気な人でしたが、高齢になったときに備えて、兼用住宅の住宅部分の改修を考えました。2階建てですが、1階住宅部分の約70平方メートルだけでも生活ができるように、また、できるだけ生活部分がコンパクトになるようにまとめました。必要以上に広い住宅も、とくに高齢になると持て余すからです。

兼用住宅(2)- 高齢対策、生活コンパクトに

居間と食堂の境には折り畳み式のテーブルを置いた - 第35回 - 2001年06月13日 朝日新聞(東京本社版)夕刊マリオンから

2001.06.13

そのために、トイレと寝室、玄関とキッチンをそれぞれ近い位置にし、廊下は幅広く短くしました。一方で、洗面所や浴室、トイレはそれぞれ3畳分、2畳分、1.5畳分と広めに作りました。

また、作り付けの収納家具で、少しでも家事が楽になるようにしました。

食堂の居間側には、やはり作り付けの折り畳み式テーブルを置きました。普段は2人暮らしですので、畳んで使います。来客があった場合には、開いて大きく使います。

これは実は「動線」を意識したものです。住宅は内部でぐるりと一回りできるのが便利です。この家の場合は廊下から台所、食堂、居間と通り、廊下に戻る形式です。大きなテーブルを置いて、一周する妨げにはしたくなかったのです。

また、幅の広い引き戸を多用しました。引き戸は引き込む部分の壁が、開口幅と同じだけ必要です。それができない場所では、エレベーターのような2枚片引き戸の形にして、引き込む壁の幅を半分にしました。

玄関の段差は10センチほどに低くしました。この程度の高さなら、足腰が弱くなっても上がりやすいし、車いすでもスロープで対応しやすいからです。

寝室のわきには、2畳のクローゼットを作りました。介護が必要になったときに備えてのスペースでもあり、トイレや洗面室などに変更することができます。「次回のリフォーム」を想定しておけば、住まい方の幅が広がります。

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