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大瀧雅寛 ↘

トイレ(1)- 介助・掃除のしやすさも考えて

〈013〉

いざ体が不自由になったときに、最も困るのがトイレです。「ベッドのわきにでも、ポータブルトイレを置けばいいじゃないか」という考え方もあるでしょうが、自分の身になって考えてみてください。人の尊厳にかかわる問題ですので、私はできる限り長く、自分でトイレを使わせてあげたいと思います。

トイレ(1)- 介助・掃除のしやすさも考えて

便器の前と左には、はね上げ式のてすりを取り付けた - 第13回 - 2001年01月11日 朝日新聞(東京本社版)夕刊マリオンから

2001.01.11

60代のご夫婦と息子が住む家を改修しました。奥さんが脳こうそくによる左半身マヒのため、車いすを使っていました。

この家のトイレも1畳分の広さしかなく、車いすで使うには狭すぎるので、寝室に近い場所に、約3.3平方メートルのトイレを新設しました。

車いすがUターンするために必要な、直径1・2メートルの円を確保してあります。

しかし、広くても便器は片側に寄せてあります。車いすから移乗しやすいように、また移乗を介助するスペースを確保するためです。

この家では奥さんが左マヒでしたので、便器に座って左側にそのスペースを作りました。片マヒの人は、マヒのある側に倒れやすいからです。

手すりは便器を囲むように三方に取り付けました。立ち座りのために便器に座って右側の壁にと、座ったあとの姿勢を保つために前方と左側にです。

壁以外の手すりはそれぞれ可動式で、便器に移乗するときははね上げるようになっています。

便器の座面の高さは一般的には40センチほどですが、この家では奥さんが小柄でしたので、便器に座ったときにかかとが浮かないように、便器の下の床をそこだけ切り下げて、便器の高さが低くなるように取り付けました。

便器の洗浄は壁につけたリモコンでできます。よく使われている便器の上のタンクの手洗いは使いにくいので、車いすで使いやすいカウンター式の手洗いを別に作りました。

床は掃除しやすいことを第一に考え、クッションフロアをはりました。掃除のしやすいことも、介護負担の軽減のためには大切です。

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