機能だけではなく遊び心を持たせた、斜めなトイレ〈108〉

同業の他社さんから、たくさんの間取り図を見せてもらう機会がありました。どの住まいも外観やリビングなど、それぞれ個性的なのですが、一転トイレだけは、どれも個性がなく同じだったことが不思議でした。トイレは、デザインするに値しない空間だと、思われている様でした。

機能だけではなく遊び心を持たせた、斜めなトイレ


私は、「ひとりひとりに合わせて設計すること」が、

バリアフリーに限らず、住まい全般にとって大切だと考えていて、

そのことが端的に現れるのが、まさに「トイレ」だからです。

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私の事務所には、バリアフリー住宅のご依頼を多く頂いています。

バリアフリーなトイレは、一般的な住まいのトイレと比べると、

「大は小を兼ねる」と、「広いだけのトイレ」となりがちですが、

大切にしていることがあります。それは「遊び心」です。

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このお住まいのトイレは、車いすでの使いやすさを考え、

2帖と広いスペースを確保し、洗面としても使える様にしました。

便器と手洗い器をわずかに傾けると、トイレ全体が楽しくなりました。

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便器を傾けた理由は、楽しくするためだけでなく、他にもありました。 便器の左右の両方に、介助者の立つ場所を確保するためでもあります。

また、私たちは無意識にうちに、自分の体を壁に対して、

平行、直角の関係を、保とうとしていると思います。

それが、便器に腰掛けた瞬間、オーバーに言えば強制的に、

傾いた「景色」と向かい合う。それが「面白いな」と思ったのです。

「面白い」と思のは、私だけ、なのかもしれませんが... 。

便器に座った時の手元の明るさ、窓や照明との位置関係だけではなく、

「便器に座った時に、真正面に見えるもの」も、大切にしたのです。

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聞くところによると、最近のスマホの普及により、

トイレの滞在時間は、長くなったそうです。

トイレの滞在時間は、ひとりひとり様々だと思うので、

機能だけではなく、「遊び心」を持たせて、

長くいても居心地よく、退屈しない様にと考えています。

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そんな話を住まいてさんにしたら、共感いただきました。

このトイレの内装の仕上げは、住まいてさん家族のみんなで、

明るく楽しく仕上げてくれました。

お伺いすると長居したくなる、お住まいなのですが、

トイレもなおのこと、長居したくなる空間になりました。