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大瀧雅寛 ↘

家具(1)- 空間有効に使える「造り付け」

〈042〉

家具は住宅にとって、居心地のよさを決める重要な要素です。家具には、住宅とそこに住む人をつなぐ役割があります。どんなに考えて住宅を建てても、家具とのバランスが悪ければ住みにくくなります。

家具(1)- 空間有効に使える「造り付け」

手すりが付いた造り付けの本棚 - 第42回 - 2001年08月01日 朝日新聞(東京本社版)夕刊マリオンから

2001.08.01

家具は3種に大別できます。置き家具、造り付け家具、移動する家具です。置き家具は一般的な、家具屋で買うものです。バラエティーに富み、模様替えや引っ越しもできますが、よほど考えて買わないと、使えないすき間が残ってしまいます。また、裏側にほこりがたまり、掃除がしにくいことも難点です。

その点、造り付け家具は住宅内の空間を隅々まで有効に使えます。狭い住宅であるほど役に立つといってもいいぐらいです。天井や壁に固定するため、地震の際に倒れる心配もありません。

模様替えができないデメリットはありますが、新築や改築と同時に、将来まで見越して慎重に設計すれば、メリットの方が大きいと考え、私は自分の設計する家では造り付け家具をできるだけ使っています。

ただし、特注しなくてはいけませんので、置き家具に比べると価格は高くなります。そのため、材料には安価なシナ合板を使うようにしています。

夫婦と中学3年生の娘さんの3人家族の住まいのリフォームは、造り付け家具が何よりも役立った例です。娘さんは脳性まひのため、家では壁や家具につかまりながら歩いています。

LDKや娘さんの部屋の間仕切りに、造り付け家具を使いました。がっちりと固定したので、安心して寄りかかることができます。特注なので、手すりも必要な位置に付いています。

娘さんの部屋の間仕切りは天井まである本棚です。両面が棚になっていますので、たっぷり収容できます。棚板は可動式にして、本のサイズに合わせて収容できるようにしました。

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